どこまで広がる国際相続課税(続きを読む)
ここ数年、日本の税制は「法人にはやさしく、個人にはきびしく」なってきています。具体的には法人税の税率はどんどん下げついに20%代まで下がりましたが、所得税(住民税含む)の最高税率は55%、相続税も贈与税も最高税率は55%まで上がりました。
今回はここ数年増え続けている国際相続について考えてみましょう。
(1)下がる基礎控除
2015年1月の相続税の改正で日本では相続税の対象となる人が2倍に増えたと言われています。これは相続税の基礎控除(税金がかからない金額)が引き下げられたことによります。基礎控除が下がるということは課税される部分が広がるということです。
改正後)3,000万円+600万円×法定相続人の数
(2)広がる納税義務者の範囲
相続税の納税義務者の範囲もここ数年の間にどんどん拡大してきました。
1999年以前は相続人が日本に居住しているかどうかだけで課税される範囲が決まっていました。2000年からは国籍や居住期間(5年)の制限も加わりました。そして2013年の改正で親が日本に居住している場合、ハワイに居住している子(相続人)は日本国籍を抜いていてもハワイの財産に対して日本の相続税がかかるようになりました。そして2017年から居住期間が10年に伸びました。
納税義務者の範囲拡大への唯一の対策は日本に住んでいる親をハワイに呼び寄せることしかありません。親子ともにハワイで10年以上居住していればハワイの財産について日本で納税する必要がないからです。しかしハワイに移住しても日本の財産に対する相続税は免れることができないので注意してください。