遺産税と相続税の違い

よく、「日本では相続税っていうのに米国では遺産税というのはなぜ?」という質問を受けることがあります。日本語の訳が間違っているのか?いやそうではありません。

遺産税はestate tax、相続税はinheritance taxと訳されています。どちらも亡くなった人(被相続人)の財産に対して課税されるものですが、納税義務者が異なるのです。

米国や英国のような遺産税を用いている国では、相続人に分配する前に遺産全体に対して申告納税し、納税後の財産を相続人に引き継ぐことになっています。米国では相続開始とともに財産が凍結され、管財人によりプロベートという相続手続きが開始します。日本のように戸籍がないため、相続人や財産債務の確定~遺産税の申告納税の手続きなどをプロベートで行います。そして残った財産を相続人で分配するのです。被相続人が亡くなった後に自分の相続税を払ってのこりを子供たちに分け与えるイメージです。

これに対して日本、ドイツ、フランスなどは財産を相続した人が納税義務者となって相続税を申告することになります。これを相続税と定義しています。相続人がそれぞれの責任において申告納税するのですが、中には自分自身が借金だらけで親からの遺産を返済に充ててしまい相続税の増税ができなくなる人もいます。そこで相続税法では、相続人相互間において連帯納付義務を定めています。しかし財産の名義を変更して納税までした後にほかの相続人がきちんと納税完了したのかまで確認するすべがないことや、税務署に問い合わせても個人情報保護の立場からほかの相続人の納付状況を開示してもらえずトラブルも多く発生しています。

また、遺産税と相続税と呼び名は異なっても、米国に相続財産がありその財産に対して米国で申告納税している場合、日本で全世界の財産に対して相続税の申告するときにすでに米国で納税した遺産税を日本で外国税額控除をすることはできます。

文責:内藤

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