ハワイの買い替え特例1031exchange
日本で不動産を買い替えた場合、「買い替えの特例」という課税の繰り延べ制度があります。
これはある物件を売却して別の物件を購入した場合に、売却物件にかかる譲渡所得税を2つ目の物件を売却するまで繰り延べるというものです。
物件を売却して譲渡益が出た場合に本来であればその譲渡益に対する所得税住民税を納付しなければならないのですが、売却金額を次の物件の購入金額に充てているため納税資金が足りなくなります。すると買い替えるたびに小さな物件を買わざるを得なくなるため不動産投資がどんどん減ってしまうことになります。それでは投資促進が進まないことから、その譲渡所得に課税せず2つ目に購入した物件の売却まで税金を繰り延べる制度を「買い替えの特例」といいます。2つ目の物件の売却時に2回分の譲渡益課税を行うというものです。
しかしこの制度は所有期間が10年を超える国内物件しか対象とならないため「ハワイ不動産」については適用ができません。
同じ制度が米国にもあります。それが1031exchangeです。しかし日本の居住者がこれを適用した場合、ハワイでの申告では繰延されても日本では通常の譲渡として取り扱われて意味がありません。
それどころか2つ目の物件の譲渡申告の際、米国では2回分の譲渡益に対する課税のため多額の税金が発生し、日本の譲渡益課税(2つ目の物件の単体課税)より多額の税金が発生し、外国税額控除が受けきれないという現象が生じてしまいます。つまり二重課税が生じてしまうということです。さらに相続などでこの特例を適用したかどうかなどの情報が遺族に引き継がれていないと、のちに税務署から指摘を受けて加算税や延滞税など余分な税金も発生することになります。米国でこの特例を受ける場合は慎重な対応が必要となります。
文責:内藤